こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
顧問弁護士の費用について具体的な目安がわからず困っていませんか?
自社に最適な顧問弁護士を探すためには、平均的な顧問料の額や自社の規模における顧問料の相場などを把握しておくことが必要です。そのうえで弁護士の取扱分野やプラン内容が自社のニーズと合っているかを検討することが大切です。
なお、「顧問料が安い」というだけの理由で決めるのは適切ではありません。顧問料が安いと、その分顧問契約内のサポート内容が狭く設定されている場合が多いため、顧問契約の範囲外の事項について依頼した場合に多額の追加料金がかかり、かえって高くついてしまうおそれがあります。また、値段だけで顧問弁護士を選ぶと、自社の相談したい分野について十分な専門性がなく、満足いく対応が得られないことがあります。弁護士は料金の額ではなく、専門性で選ぶことが大切です。
この記事では、顧問料の平均的な月額費用の相場や、費用の見積もりにあたって考慮されるポイントについて解説します。この記事を最後まで読めば、顧問料の目安や見積もりの際に考慮されるポイントなどについて詳しく知ることができます。自社に最適な顧問弁護士を選ぶための参考としていただけますと幸いです。
それでは見ていきましょう。
筆者が代表を務める咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスでは、中小企業をはじめとする事業者の多様なニーズを踏まえ、顧問料が月額3万円のミニマムプランから月額15万円のプレミアムプランまで4つのプランをご用意しています。
顧問契約をご検討中の方向けに、対面やzoomでの弁護士との無料面談を実施しています。顧問弁護士サービスにおけるサポート内容のご説明や、貴社に最適なプランのご提案をいたします。気軽にお申し込みください。咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについての内容や費用について詳しくは以下をご参照ください。
顧問弁護士に関する重要な関連情報
ー この記事の目次
1.顧問弁護士の費用について法律の規定はない
顧問弁護士の費用について、現在、法律等による決まりはありません。
以前は日本弁護士連合会が定めた「報酬等基準規程」があり、事業者向けの弁護士顧問料については最低金額が月額5万円と定められていました。しかし、2004年4月から自由化され、弁護士がそれぞれ自由に金額を設定することが可能になりました。
2.顧問弁護士の平均的な月額費用の相場
「株式会社LegalOn Technologies」が2023年に実施したアンケート調査によると、中小企業の顧問弁護士の平均的な月額費用の相場は5万〜10万円となっています。
▶参考:顧問弁護士の月額費用の相場データ
・参照元: LegalForce「2023年最新版 顧問弁護士活用の実態レポート」
また、顧問契約を締結した場合、どの程度の業務までが月額顧問料の範囲内となるかについては、日本弁護士連合会のアンケート調査によると「相談方法にかかわらず月3時間程度の時間を要する相談を月額顧問料の範囲内とする」という回答が約60%、「電話やメール等による相談ですぐに回答できる内容のものであれば時間にかかわらず顧問料の範囲内とする」との回答がおよそ35%となっています。
・参照元:日本弁護士連合会 ひまわりほっとダイヤル「弁護士報酬について(顧問契約を締結した場合、どの程度の業務まで月額顧問料の範囲か?)」
3.中小企業と大企業向けの顧問弁護士費用の相場とサービス内容の違い
中小企業向けか大企業向けかによっても、顧問弁護士サービスの費用の相場やサービス内容に違いがあります。
3−1.中小企業向けの顧問料の相場とサービス内容
中小企業向けの顧問弁護士の場合、企業法務についての全体的な対応が主なサポート内容となります。法務部が自社にない会社が多いこともあり、サポート内容は契約書の作成やリーガルチェック、労務問題の対応、取引先や顧客とのトラブルについての相談など、日常的な法務や労務管理が中心です。
平均的な顧問料の料金は月額5~10万円程度ですが、法律事務所によってはより安価でお手軽なプランを提供しているところもあります。また、基本的に一人または少数の弁護士が担当するパターンがほとんどです。
中小企業向けの顧問弁護士については、以下の記事でも詳しく解説していますので参考にしてください。
3−2.大企業向けの顧問料の相場とサービス内容
一方、大企業向けの場合は、日常的な法務事項は自社で対応し、専門性の高い判断が必要な案件や、法的な紛争になった場合のみに顧問弁護士に依頼するといったケースが多いです。
大企業向けの顧問弁護士サービスを提供する法律事務所では、弁護士の他に税理士や弁理士、社会保険労務士や海外の法律事務所など、他の専門家と連携している事務所が多く、他の専門家のサポートを要する案件についても事務所内で完結することができますが、その分、顧問弁護士の料金も高めに設定されていることが多いです。
4.個人向けと法人向けの顧問弁護士費用の相場やサービス内容の違い
次に、個人向けの顧問弁護士サービスと法人向けの顧問弁護士サービスの費用の相場やサービス内容の違いは、主に以下の表の通りです。
▶参考:個人向けと法人向けの顧問料の相場と主なサービス内容・取扱分野の比較表
個人向け | 法人向け | |
平均費用 | 月額2000~1万円程度 | 月額5~10万円程度 |
主なサービス内容 | ・私生活上の法律相談 | ・法律相談 |
・契約書の作成、リーガルチェック | ||
・労務管理 | ||
主な取扱分野 | ・離婚や相続 | ・労務問題 |
・交通事故 | ・IT関連 | |
・近隣トラブル | ・クレーム対応 | |
・消費者トラブル | ・不動産 | |
・インターネットに関するトラブルなど | ・商標権、著作権その他知的財産権など |
法人向けの顧問弁護士サービスでは、主に法律相談、契約書の作成やリーガルチェック、労務管理など、企業法務に関するサポートが提供されます。法人の場合法律問題に直面する機会が多く、継続的なサポートや緊急時の迅速な対応が必要になるため、費用の相場は個人向けの顧問弁護士サービスと比べ高額になります。
一方、個人向けの顧問弁護士サービスでは、離婚や交通事故、近隣トラブルといった私生活上の法律相談が主なサービス内容であり、何かトラブルが起きたときだけ利用するといったケースが多いです。顧問料の範囲内でできることが法人向けに比べ限られていますが、その分費用も抑えられていることが多いです。
個人向けの顧問弁護士については、以下の記事でも詳しく解説していますので参考にしてください。
5.地域による費用の違い
基本的に地域による顧問料の違いはほとんどありません。最近では複数のプランの中から選べる法律事務所が多くなっており、大体相場として月額5〜15万円の顧問料金に設定しているケースがよく見られます。ただし、これは筆者の印象にすぎませんが、東京では他の地域と比べて顧問料が高額に設定されていることが多いように感じます。
また、料金プランの選択肢の多さという点においては、東京や大阪といった都市部の法律事務所の方が充実している傾向にあります。例えば月額1万円台の格安プランなど、あまりメジャーではない価格帯のプランを希望する場合、地方の法律事務所だと取り扱いがあるところを見つけるのが難しいこともあります。
6.顧問契約がある場合とない場合の弁護士費用の違い
次に、顧問契約がある場合とない場合の弁護士費用の違いについてご説明します。
顧問契約がある場合でも、その中に含まれるサービス内容は相談への対応や契約書のリーガルチェック等であり、契約書の作成や売掛金回収などを弁護士に依頼する場合は別途費用がかかることが一般的です。ただし、別途費用になる場合も、顧問契約がある方が料金が安くなることが通常であり、事件を依頼することが多い場合は顧問弁護士契約をしていた方が費用を抑えることができます。
少し古いデータになりますが、日本弁護士連合会が2009年度に実施した弁護士向けアンケート結果によると、顧問契約がある場合とない場合の事案ごとの弁護士費用の違いは以下の通りです。
6−1.契約書の作成
契約書作成の場合、顧問契約がある場合の弁護士費用の相場は5万円前後なのに対し、顧問契約が無い場合の相場は10万円前後となっています。
弁護士費用 | 顧問契約がある場合 | 顧問契約がない場合 |
5万円前後 | 49.0% | 25.0% |
10万円前後 | 21.4% | 43.8% |
15万円前後 | 2.3% | 10.9% |
20万円前後 | 3.9% | 8.9% |
30万円前後 | 0% | 5.9% |
・参照元:日本弁護士連合会「中小企業のための弁護士報酬の目安」(pdf)
6−2.売掛金回収
2000万円の売掛金回収を依頼する場合、顧問契約がある場合の着手金は50万円前後、報酬金は100~150万円が相場であるのに対し、顧問契約がない場合の着手金は100万円前後、報酬金は200万円前後が相場です。
着手金 | 顧問契約がある場合 | 顧問契約がない場合 |
50万円前後 | 53.3% | 30.9% |
70万円前後 | 20.7% | 19.1% |
100万円前後 | 12.2% | 44.4% |
120万円前後 | 0.3% | 1.0% |
150万円前後 | 0% | 1.3% |
報酬金 | 顧問契約がある場合 | 顧問契約がない場合 |
100万円前後 | 35.2% | 17.4% |
150万円前後 | 29.6% | 17.1% |
200万円前後 | 26.0% | 58.2% |
250万円前後 | 1.0% | 3.6% |
300万円前後 | 0% | 0.7% |
・参照元:日本弁護士連合会「中小企業のための弁護士報酬の目安」(pdf)
7.顧問料の見積もりにあたって弁護士が検討する点
次に、顧問料の見積もりにあたって弁護士が検討する点についてご説明します。見積もりにあたって考慮する点は弁護士によってさまざまですが、一般的には以下のように言えるでしょう。
7−1.事業内容
例えば、金融業界や医薬品業界など、複雑な規制があり法的リスクが高い業界の事業では、専門的な知識や経験が求められるため、顧問料が高くなる傾向にあります。また、国際取引を行う企業であれば、海外の法律や規制への対応、外国語でのリーガルチェックなどが必要になるため、顧問料が高額になる傾向になります。
7−2.企業規模
基本的に従業員数が多く、企業規模が大きいほど、相談ニーズが増えるため、顧問料も高くなる傾向にあります。
7−3.相談回数
相談回数が多いほど顧問料も高くなる傾向にあります。
7−4.プラン内容
基本的に顧問料の範囲内でできることが多いほど料金も高くなります。顧問弁護士のサービス内容の主な内容は法律相談ですが、それに加えて契約書の作成やリーガルチェック、内容証明郵便の発送など、顧問料の範囲内でできることが多ければ多いほど、その分顧問料も高額になります。
8.費用が高いほどサービスも良いのか?
基本的に費用が高いほど、高い専門性や充実したサポート内容が期待できますが、事業内容や企業規模によっては必ずしも必要でない場合もあります。また、費用が高いことが必ずしもサービスの質の高さを保証する訳でもありません。弁護士が高い専門性を有していたりプラン内容が充実していても、顧問弁護士の取扱分野が自社のニーズとマッチしていなかったり、弁護士の人柄が合わないといった場合、満足いくサービスが受けられないおそれがあります
そのため、顧問弁護士を選ぶ際は顧問料の高さで判断するのではなく、その顧問弁護士の取扱分野・専門分野やプラン内容が自社のニーズに合っているかどうかを考慮する必要があります。
顧問弁護士の選び方については以下の記事で詳しく解説しておりますので、あわせてご覧下さい。
9.咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスプラン・料金表
咲くやこの花法律事務所では、500社以上の企業に顧問弁護士サービスによるサポートを行っています。最後に、咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについてご紹介します。
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについて詳しく解説した動画を公開中です。あわせてご参照ください。
咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスには、ご相談の頻度ごとに4つのプランがあり、ニーズに応じて最適な顧問契約プランをお選びいただけます。
※ミニマムプラン・スタンダードプランにおいても、通常の契約書・社内文書・利用規約・プライバシーポリシーのチェック等について上記「プランの目安」の範囲内でプラン内での対応が可能ですが、特に分量が多く複雑なものについては別途料金をいただくことがあります。
9−1.ミニマムプラン(月額3万円+税)
●ご相談回数の目安:月に1回~2回程度
ミニマムプランはトラブル発生時に備えてすぐに相談できるようにしておきたい方におすすめのプランです。メールやチャット、web面談による法律相談ができ、電話相談についてもご予約なしでのご利用が可能です。
9−2.スタンダードプラン(月額5万円+税)
●ご相談回数の目安:週1回程度
定期的な相談をご希望の方や、就業規則や契約書の整備を進めたい方におすすめのプランです。
9−3.しっかりサポートプラン(月額10万円+税)
●ご相談回数の目安:週2回程度
顧問弁護士とより密に連絡を取り、会社の整備を進めたい方や、社内に複数の事業があり、複数の事業についてご相談をお考えの方におすすめのプランです。
9−4.プレミアムプラン(月額15万円+税)
●ご相談回数の目安:週3回以上
相談回数が多い事業者様向けのプランです。相談回数を気にすることなくご利用いただけます。
咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについては、以下のページで詳しくご説明していますので、あわせてご覧ください。
10.顧問弁護士の費用に関するよくある質問
10−1.インボイスや消費税について
顧問弁護士の費用については、別途消費税がかかります。顧問料だけでなく、着手金や報酬金等の弁護士費用についても同様です。適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)として登録されている法律事務所であれば、インボイス制度に対応した請求書や領収書が発行されるため、消費税の仕入税額控除が使えます。
ただし、顧問契約をする弁護士の法律事務所が免税事業者である場合、適格請求書発行事業者の登録ができないため、インボイスは発行されません。その場合は仕入税額控除ができず、消費税分は契約企業の負担になってしまいますので、注意が必要です。
10−2.源泉徴収について
費用に源泉徴収が必要か否かは、顧問弁護士が事務所を個人事業として経営しているか、法人として経営しているかによって異なります。
顧問弁護士が個人事業として法律事務所を経営している場合は、顧問料は源泉徴収したうえで、弁護士に支払う必要があります。一方、「弁護士法人」との顧問契約である場合は、源泉徴収は必要ありません。
10−3.勘定科目について
顧問料は経費として処理することができ、主に「支払報酬料」「支払手数料」「業務委託費」「支払顧問料」などの勘定科目とすることが可能です。
11.まとめ
この記事では顧問弁護士の費用についてご説明しました。
中小企業向けの顧問弁護士の平均的な月額費用の相場は5万〜10万円程度といえるでしょう。また、中小企業向けの顧問弁護士の場合は企業法務についての全般的なサポートが中心であるのに対し、大企業向けの顧問弁護士は専門性の高い案件についての相談や対応が中心となり、顧問料の費用が高い傾向にあります。一方、個人向けの場合は日常生活におけるトラブルについての法律相談が主であり、費用は法人向けのものと比べ安価です。
また、弁護士に事件の対応等の個別案件を依頼する場合、顧問契約がある方が弁護士費用を安く抑えることができます。
顧問料の見積もりには事業内容や企業規模、相談回数、プラン内容といった点が考慮されます。適切な顧問弁護士を選ぶためには顧問料の額だけで判断するのではなく、その顧問弁護士の取扱分野・専門分野やプラン内容が自社の規模やニーズに合っているかどうかを総合的に考慮することが大切です。
咲くやこの花法律事務所では、月額3万円から月額15万円まで多彩な顧問弁護士プランを用意し、多くの事業者のニーズに対応してきた実績があります。顧問弁護士サービスをご検討中の方には、弁護士が顧問弁護士サービスの内容を説明する無料面談を実施しています。無料面談は実際に事務所で弁護士に会っていただく方法のほか、zoom・電話等の方法でも可能です。ご希望の方はお気軽にご連絡いただきますようにお願いいたします。
12.【関連情報】顧問弁護士に関するお役立ち情報
この記事では、「顧問弁護士にかかる費用はどのくらい?顧問料の相場など料金について」を解説してきましたが、顧問弁護士をお探しの方に向けて、他にも重要なお役立ち情報を公開しています。以下でご紹介しておきますので、あわせてご参照ください。
顧問弁護士に関する基本的なお役立ち情報
・中小企業向けの顧問弁護士とは?必要性などをわかりやすく解説
・スタートアップに弁護士は必要?顧問弁護士の役割やメリットを解説
業種別のお役立ち情報
・エステなど美容業界における顧問弁護士!弁護士の必要性や役割、選び方を解説
・医療法人・クリニックの顧問弁護士とは?弁護士の役割や選び方について
・建設業(建築工事業、土木工事業、解体工事業など)の顧問弁護士!弁護士の役割や選び方
・派遣会社のための顧問弁護士とは?弁護士の役割や選び方について
・不動産業に強い顧問弁護士!メリットや具体的な活用場面を詳しく解説
・社会福祉法人に顧問弁護士は必要?弁護士の役割やメリットを解説
・個人事業主に顧問弁護士は必要?メリットや役割、費用について
記事作成日:2024年9月10日
記事作成弁護士:西川 暢春