こんにちは。弁護士法人咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。

顧問弁護士が必要かどうか迷っていませんか?

特に、自社の法務部門を持たない中小企業においては、取引先や、顧客、従業員とのトラブルが発生した際の対応について不安はあるものの、顧問弁護士をつけるまでの必要性があるのかは疑問に思っている、といった方は多いのではないでしょうか。

中小企業が顧問弁護士を依頼した場合、以下のようなサポートを受けることができます。

 

  • (1)契約書の作成やリーガルチェック
  • (2)労務管理のサポート
  • (3)知的財産権の保護
  • (4)クレームへの対応
  • (5)債権回収
  • (6)平時の予防法務、会社の整備、社内規程の整備

 

少し古い調査にはなりますが、2016年に実施された日本弁護士連合会の中小企業向けアンケート調査では、契約書関連については49.4パーセント、クレーマー対策については41.9パーセント、債権管理・保全については36.8パーセント、ハラスメント等社内問題については35.6パーセントの企業が顧問弁護士に相談して対処したと回答しています。(参考:「中小企業の弁護士ニーズ全国調査報告書(調査結果編)(PDFファイル;489KB)の29頁

顧問弁護士に依頼しない場合、当面の費用の節約となりますが、日ごろから法務面の整備をすすめることができないため、いざトラブルとなった際にあわてて弁護士に依頼しても十分な対応ができず、企業として大きなダメージを受けてしまう事もあります。

このようなことを避けるためにも、日頃から顧問弁護士に依頼して、トラブルに強い会社の体制を整えていく必要があります。

この記事では、実際にどのくらいの中小企業が顧問弁護士に依頼しているかを解説したうえで、顧問弁護士にかかる費用や、活用事例、活用の失敗例などをご紹介します。

 

「弁護士 西川 暢春」からのコメント
「弁護士 西川 暢春」からのコメント

筆者が代表を務める咲くやこの花法律事務所では、中小企業向けの顧問契約サービスについて、弁護士から無料でご案内を差し上げております。事務所にお越しいただいての対面でのご案内はもちろん、zoomミーティングやお電話でのご案内が可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

参考情報

顧問弁護士に関する重要な関連情報

顧問弁護士とは?役割やメリット、費用の相場を解説

 

顧問弁護士サービスのご相談顧問弁護士サービスのご相談

 

1.中小企業向けの顧問弁護士とは?

中小企業向けの顧問弁護士とは?

中小企業向けの顧問弁護士とは、中小企業が直面する法的な問題やリスクについて日頃から継続的に相談に乗り、取引先との契約書の作成や契約書のリーガルチェック、社内の人事労務の問題や取引先とのトラブルに対応する弁護士です。また、日ごろの企業経営で起こるトラブルやその予兆について解決やトラブル防止の助言をすることで、早期にトラブルの芽を摘み、企業の運営を安定したものとするためのサポートを提供します。

 

2,大企業の顧問弁護士との役割の違い

大企業向けの顧問弁護士は、特定の専門分野に特に注力している弁護士が求められるのに対し、中小企業においては、幅広く企業法務全般に対応可能な弁護士が求められる傾向にあります。

以下でご説明いたします。

 

2−1.大企業向けの顧問弁護士とは?

大企業においては、契約書関連の対応や社内規程の整備、日頃の予防法務、法改正への対応といった基本的な部分については、社内に設置されている法務部門など、自社の人材で対応することが一般的です。

そのため、大企業が顧問弁護士に相談するのは、自社の法務部門では対応できないような複雑な事案や専門的な事案、あるいは訴訟に発展した場合などに限られます。また、海外企業の買収や、内部統制システムの構築なども、大企業特有の相談になります。

大企業は、このように専門特化した法分野に対応できる弁護士について、分野ごとに顧問契約をし、弁護士を使い分けていることが多いです。そのため、大企業向けの顧問弁護士は、特定の専門分野に特に注力している弁護士が求められる傾向にあります。

 

2−2.中小企業向けの顧問弁護士との違い

一方で、中小企業においては、日頃からの基本的な予防法務についても、弁護士に依頼して整備をすすめることがほとんどです。契約書の作成やリーガルチェック、取引先や従業員とのトラブルへの対応、クレームへの対応、債権の未払いが起きた場合の対応、広告の適法性チェック、そして法改正への対応など、日頃からの企業法務全般を顧問弁護士に相談することが通常です。

つまり、中小企業においては、特定の分野に特化しているというよりは、企業法務全般について網羅的に対応できる弁護士が求められることが多いです。

また、中小企業の顧問弁護士ならではの相談分野も存在します。例えば、後継者への事業承継の問題や、企業が債務を抱えたときの債務整理の相談等は、大企業にはない中小企業ならではの相談事項です。さらに、離婚や相続など役員個人の私生活上のトラブルについての相談を受けたり、必ずしも法律分野にとどまらない経営面の相談の対応をすることが必要になる例もあります。

 

参考情報

中小企業における予防法務や企業法務については、以下の参考記事をご参照ください。

予防法務とは?重要性と取り組み方を弁護士わかりやすく解説

企業法務とは?わかりやすく弁護士が徹底解説

 

「弁護士 西川 暢春」からのコメント
「弁護士 西川 暢春」からのコメント

中小企業においては、法的な整備を顧問弁護士に頼る範囲が広く、日ごろから気軽に顧問弁護士に相談できる関係を築くことで、トラブルに強い企業づくりをすすめていくことが、企業の安定的な経営を実現するために不可欠です。顧問弁護士が現在いる場合でも、このような関係が実現できていない場合は、顧問弁護士の変更を検討する等の対策をとらなければ、法的な整備が遅れてしまい、法改正に対応できない企業になってしまいますので注意が必要です。

 

3,スポットで依頼する弁護士との違い

スポットで依頼する弁護士との違い

中小企業の中には、顧問弁護士と契約せずに、相談発生時にスポットで弁護士に依頼して対応しようとする企業も存在します。しかし、顧問弁護士と、スポットで依頼する弁護士では、以下のように大きな違いがあります。

 

3−1.相談の方法

 

(1)顧問弁護士がいる中小企業

予約なしに電話やメールでいつでも気軽に相談できる。そのため、トラブル防止のための平時の相談やトラブルの予兆段階から早期の相談がしやすく、トラブルに強い会社を作ることができる。

 

(2)スポット依頼で対応している中小企業

原則として相談には毎回予約したうえで、事務所に行くことが必要。そのため、トラブルが深刻化するまでは、自社で対応することになり、誤った対応により損害を拡大させてしまう危険がある。

 

3−2.現場担当者からの相談

 

(1)顧問弁護士がいる中小企業

毎月顧問料を支払っているため、現場担当者が相談の際に会社の決済を得る必要がなく、現場から早期にスムーズな相談をしやすい。

 

(2)スポット依頼で対応している中小企業

その都度相談料がかかるため、会社の決済が必要になってしまい、必要な場面で現場からの相談がされなかったり、遅れる原因になる。

 

3−3.予防法務(日頃の整備)

 

(1)顧問弁護士がいる中小企業

日ごろからトラブル予防やリスク対策のアドバイスを受け、徐々に会社を整備してトラブルに強い会社を作ることができる。

 

(2)スポット依頼で対応している中小企業

トラブル予防やリスク対策が進まず、トラブルになったときの影響や損害が深刻化する。

 

3−4.法改正への対応

 

(1)顧問弁護士がいる中小企業

法改正など新しい情報をいち早く入手して対応できる。

 

(2)スポット依頼で対応している中小企業

中小企業では法改正情報について知らないまま未対応になっている例も多く、法律から外れた会社になっていく。

 

3−5.自社で気づかないリスクへの対策

 

(1)顧問弁護士がいる中小企業

自社で気づけない重要なコンプライアンス上の問題についても指摘を受け、トラブルになる前に改善できる。

 

(2)スポット依頼で対応している中小企業

自社で気づけない重要なコンプライアンス上の問題について指摘を受ける機会がなく、トラブル発生後に気づくことになる。

 

3−6.トラブル発生時の対応

 

(1)顧問弁護士がいる中小企業

トラブル発生時もスムーズに対応できる。これまでのリスク対策の成果を生かすことができ、早期の解決、自社に有利な解決を実現できる。

 

(2)スポット依頼で対応している中小企業

中小企業において顧問弁護士がいないと日ごろのリスク対策が不十分になりやすい。その場合、トラブル発生後に良い弁護士に依頼できたとしても、良い結果を得ることは困難になる。

 

3−7.トラブル発生時の解決

 

(1)顧問弁護士がいる中小企業

早期に顧問弁護士に相談することで、正しい初動対応ができ、早期の解決、自社に有利な解決を実現できる。

 

(2)スポット依頼で対応している中小企業

トラブル発生後の相談が遅れがちで、まずは自社の判断で対応する結果、初動対応を誤り、重大な損害の発生やトラブルの深刻化を招く危険がある。

 

このように、スポットではなく、顧問弁護士として依頼する場合のメリットはたくさんあります。

 

4.顧問弁護士がいる中小企業の割合について

それでは、どのくらいの割合の中小企業が実際には顧問弁護士を依頼しているのでしょうか。

これについては、かなり古い調査ではありますが、2007年に日本弁護士連合会が中小企業を対象に行った調査結果があります。

以下のグラフをご覧ください。

 

▶参考:日本弁護士連合会の調査データ「顧問弁護士・相談できる弁護士の有無」

日本弁護士連合会の調査データ「顧問弁護士・相談できる弁護士の有無」

・出典元:日本弁護士連合会「中小企業の弁護士ニーズ全国調査報告書 (調査結果編)」15ページ(pdf)

 

2007年の時点で、日本の中小企業3214社に行った調査で、19.5%の企業が「顧問弁護士がいる」と回答しています。また、「顧問弁護士はいないが相談できる弁護士はいる」と回答した企業は16.2%となっており、いざというときに弁護士に相談できると回答した企業は、およそ35%となります。

逆に言うと、2007年の時点では、半数以上の中小企業が、いざというときに相談できる弁護士がいない状態でした。

その後の統計はありませんが、筆者の法律事務所で相談対応する経験からは、紛争の相手方に顧問弁護士がいる事案についての相談や、取引の相手方の顧問弁護士が作成し提示してきた契約書のリーガルチェック依頼の相談が確実に増えており、2007年当時よりも、顧問弁護士がいる中小企業の割合が大幅にあがっていると思われます。

なお、これも2007年当時の日本弁護士連合会による調査結果になりますが、事業の種類ごとの顧問弁護士がいる割合は以下の通りです。

 

▶日本弁護士連合会の調査データ「業種別の顧問弁護士・相談できる弁護士の有無」

業種(調査した企業の数) 顧問弁護士がいる 顧問弁護士はいないが相談できる弁護士がいる 相談できる弁護士がいない
建設業(826社) 13.1% 15.0% 68.7%
製造業(619社) 22.9% 14.6% 59.4%
情報通信業(43社) 34.5% 16.2% 49.3%
運輸業・倉庫業(122社) 25.2% 11.1% 59.0%
卸売業・貿易業・商社(529社) 22.0% 17.4% 57.5%
小売業(374社) 9.8% 13.1% 73.4%
飲食業・宿泊業(45社) 13.0% 17.6% 68.4%
不動産業・金融業(172社) 36.0% 20.3% 43.4%
サービス業(333社) 23.7% 20.0% 54.8%
その他(151社) 13.7% 21.6% 62.8%

・参照元:日本弁護士連合会「中小企業の弁護士ニーズ全国調査報告書 (調査結果編)」17ページ(pdf)

 

この表から分かるように、2007年当時は、特に「情報通信業」と「不動産業、金融業」において、顧問弁護士を依頼している企業が多くなっていました。

一方で、「小売業」については、2007年当時、顧問弁護士がいる企業の割合は9.8パーセントと少ない状態でした。しかし、これも、筆者の経験による感覚にはなりますが、小売業においても、その後、消費者からのハードなクレームへの対応や、特定商取引法・消費者契約法等への対応、景品表示法等の広告規制への対応等の分野で、顧問弁護士の必要性が認識され、顧問弁護士を依頼する事業者が大幅に増えていると感じます。

2016年に実施された日本弁護士連合会の中小企業向けアンケート調査では、契約書の相談・作成については49.4パーセント、クレーマー対策については41.9パーセント、債権管理・保全については36.8パーセント、ハラスメント等社内問題については35.6パーセントの企業が顧問弁護士に相談して対処したと回答しています。

 

▶日本弁護士連合会のアンケート調査「困りごとへの対処・対処方法別データ」の「顧問弁護士に相談して対処した割合」

顧問弁護士に相談して対処した割合
1 契約書相談・作成 49.4%
2 クレーマー対策 41.9%
3 債権管理・保全 36.8%
4 ハラスメント等社内問題 35.6%
5 債権回収 35.1%
6 商品・製品トラブル 33.3%
7 下請・不公正取引 31.4%
8 知的財産権問題 27.4%
9 海外取引 26.3%
10 海外トラブル 25.5%

・参照元:第2回中小企業の弁護士ニーズ全国調査報告書調査結果編(pdf)の30ページ

 

5,中小企業向けの顧問弁護士の費用(顧問料の相場)について

中小企業向けの顧問契約では、顧問弁護士に支払う顧問料は、毎月決まった額を支払うのが通常です。これに対し、大企業や比較的規模が大きい中堅企業向けの顧問契約ではタイムチャージ制が多くなっています。

中小企業向けの顧問弁護士の費用は、弁護士や法律事務所によって異なります。2009年に、日本弁護士連合会が実施した弁護士を対象とするアンケート調査では、顧問料の平均額は「月額4万2636円」でしたが、その後、顧問料の相場も上昇傾向にあり、現在では月額5万円~7万円程度が相場となっています。首都圏では10万円程度となることも多いです。

 

参考情報

顧問弁護士の費用の相場については以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

顧問弁護士費用の相場について詳しくはこちら

 

6.咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスの内容

中小企業向けの顧問弁護士は、顧問料だけでなく、対応する弁護士の専門性や、顧問料の範囲内で得られるサポートの内容をよく理解したうえで、契約することが大切です。特に、顧問料の範囲内でどこまでのサポートを受けられるかは、法律事務所によってまちまちであり、その都度確認することが重要です。

ここでは、参考として咲くやこの花法律事務所の顧問契約サービスをご紹介いたします。咲くやこの花法律事務所では、中小企業のニーズにあわせて、月額3万円のプランから月額15万円のプランまで幅広い顧問契約プランを用意しています。また、英語対応を希望される中小企業向けのプランも用意しています。

 

6−1.ミニマムプラン(月額顧問料3万円/月に1~2回程度のご相談をご希望の方)

ミニマムプランは、中小企業の中でも相談頻度が少ない企業向けのプランです。月に1~2回程度のご相談が目安となっています。

予約なしで、弁護士の携帯電話に直接メールや電話をして相談することができるため、緊急時にも迅速に顧問弁護士からのサポートを受けることができます。また、トラブル発生時に相手方との交渉や裁判を依頼する場合、顧問料とは別に弁護士費用がかかりますが、その場合の弁護士費用は、顧問料の額、顧問契約の期間等を考慮して事案の内容によっては減額調整するなど、顧問契約の趣旨を踏まえて決定します。例えば、一定期間以上顧問契約を継続していただいている顧問先において毎月の相談件数が少ない場合は、その点を考慮して、個別案件の弁護士費用を割り引き、また、場合によっては顧問契約の範囲内として別途費用をいただかずに対応しますので、顧問料が無駄になることがありません。

「普段はそこまで相談事がないが、いざという時に備えておきたい」という方にはミニマムプランがおすすめです。

※契約書のリーガルチェックは顧問契約の範囲内で対応していますが、契約書の作成のご依頼については顧問料とは別に費用がかかります。

 

6−2.スタンダードプラン(月額顧問料5万円/週に1回程度のご相談をご希望の方)

スタンダードプランは、週に1回程度の相談をご希望の中小企業向けのプランです。

契約書のリーガルチェック等の相談が一定の頻度であったり、平時から少しづつ予防法務の整備に取り組みたいとお考えの企業におすすめのプランです。平時からリスク対策、法務面の整備に徐々に取り組むことによって、トラブル発生時もそれを活かして早期の解決、自社の意向にあった解決がしやすくなります。また、このプランでは、顧問契約の範囲内で就業規則のリーガルチェックにも対応しています。

トラブル発生時に相手方との交渉や裁判を依頼する場合、顧問料とは別に弁護士費用がかかりますが、その場合の弁護士費用は、顧問料の額、顧問契約の期間等を考慮して事案の内容によっては減額調整するなど、顧問契約の趣旨を踏まえて決定します。例えば、一定期間以上顧問契約を継続していただいている顧問先において毎月の相談件数が少ない場合は、その点を考慮して、個別案件の弁護士費用を割り引き、また、場合によっては顧問契約の範囲内として別途費用をいただかずに対応しますので、顧問料が無駄になることがありません。

※契約書のリーガルチェックは顧問契約の範囲内で対応していますが、契約書の作成のご依頼については顧問料とは別に費用がかかります。

 

6−3.しっかりサポートプラン(月額顧問料10万円/週に2回程度のご相談をご希望の方)

しっかりサポートプランは、普段から頻繫に相談をご希望の企業向けのプランとなっており、前述のスタンダードプランに比べて、より手厚くサポートを受けることができます。

このプランでは、顧問契約内で月に1通までの契約書の作成にも対応しています。

トラブル発生時に相手方との交渉や裁判を依頼する場合、顧問料とは別に弁護士費用がかかりますが、その場合の弁護士費用は、顧問料の額、顧問契約の期間等を考慮して事案の内容によっては減額調整するなど、顧問契約の趣旨を踏まえて決定します。例えば、一定期間以上顧問契約を継続していただいている顧問先において毎月の相談件数が少ない場合は、その点を考慮して、個別案件の弁護士費用を割り引き、また、場合によっては顧問契約の範囲内として別途費用をいただかずに対応しますので、顧問料が無駄になることがありません。

普段からしっかり弁護士のサポートを受けて社内の法務整備を進めていき、いざトラブルになった際も費用を抑えて依頼することが可能なプランとなっています。

 

6−4.プレミアムプラン(月額顧問料15万円/週に3回程度のご相談をお考えの方)

プレミアムプランは、週に3回程度の相談をご希望の企業向けのプランです。

例えば、社内に複数の事業があり、複数の事業について相談事項がある企業や、相談回数を気にせず、日頃から頻繫に相談したい、といった企業におすすめのプランです。

トラブル発生時に相手方との交渉や裁判を依頼する場合、顧問料とは別に弁護士費用がかかりますが、その場合の弁護士費用は、顧問料の額、顧問契約の期間等を考慮して事案の内容によっては減額調整するなど、顧問契約の趣旨を踏まえて決定します。例えば、一定期間以上顧問契約を継続していただいている顧問先において毎月の相談件数が少ない場合は、その点を考慮して、個別案件の弁護士費用を割り引き、また、場合によっては顧問契約の範囲内として別途費用をいただかずに対応しますので、顧問料が無駄になることがありません。

 

6−5.英語対応オプション

咲くやこの花法律事務所では英語対応も可能です。英文契約書のリーガルチェックの依頼や、代表者が英語話者であり、英語対応をご希望の企業などについては、別料金にて英語対応でのサポートを受けることが可能です。

英語対応オプションは、上記の顧問契約プランの月額の倍額が目安となりますが、顧問契約についてのプランのお見積りについては弁護士が無料でさせていただきますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

参考情報

咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスプランの詳細は以下をご参照ください。

顧問弁護士との顧問契約プランはこちら

 

7.顧問弁護士にはどんなことが依頼できるのか?

では、中小企業が顧問弁護士を依頼した場合、顧問弁護士へはどのようなことが依頼できるのでしょうか。

以下でご説明致します。

 

7−1.契約書の作成やリーガルチェック

顧問弁護士には、自社の取引に使用する契約書の作成や、取引先から提示された契約書のリーガルチェックを依頼することができます。

よくあるパターンの1つとして、インターネットや書籍に掲載されている契約書のひな形のひな形をそのまま流用してしまった結果、実際に取引内容に合致しないうえ、いざとなったときに自社の利益を守ることができる内容になっておらず、むしろ自社に不利益な内容になってしまっている例があります。自社の事業に詳しい顧問弁護士に契約書の作成を依頼することで、自社独自の事情も反映された、自社の利益を守ることができる、自社オリジナルの契約書を作成することが適切です。

また、取引先から提示される契約書は、基本的に相手に有利な内容になっています。そのため、必ず契約前に顧問弁護士にリーガルチェックをしてもらい、問題がないかを確認してもらうことが大切です。契約書の作成やリーガルチェックは、中小企業における顧問弁護士の重要な役割の1つといえるでしょう。

 

参考情報

契約書の作成やリーガルチェックの重要性については、以下の記事も参考にご覧ください。

契約書作成で必ずおさえておくべき6つのポイント【雛形集付き】

契約書のリーガルチェックの重要性と9つのチェックポイント

 

7−2.労務管理のサポート

中小企業が抱えがちな法的問題の代表的なものとして、従業員とのトラブルが挙げられます。従業員トラブルの原因の1つとして、就業規則がきちんと整備されていなかったり、雇用契約書が交わされていない、または十分な内容になっていないことなどが挙げられます。また、規律に従わない従業員等に対する正しい対応方法を把握しないまま場当たり的な対応になってしまっていることも原因の1つです。

こういったトラブルは、日頃から顧問弁護士に継続的に相談して自社の労務管理の整備を進め、また、問題発生時も正しい対応を顧問弁護士に早期に相談することで、そもそもトラブルにならないように予防しておくことが大切です。

また、特に就業規則は、自社における労働条件を規律するものであり、従業員の規律違反があったような場合においてはこれを根拠に処分を行う必要があるなど、企業秩序を守るために非常に重要な役割を担います。そのため、企業の事業内容や雇用の実態はもちろん、最近の法改正や裁判例の動向も踏まえて、適切に整備することが重要になります。顧問弁護士に自社の事業内容や雇用の実態にマッチした就業規則を作成してもらうことで、従業員とのトラブルを未然に防ぐことができ、また、いざトラブルに発展した場合においても、適切な対応ができるようになります。

 

参考情報

労務管理の重要性については、以下の記事も参考にご覧ください。

労務管理とは?重要な15のポイントを解説

 

7−3.知的財産権の保護

顧問弁護士は、中小企業の知的財産権の保護においても重要な役割を担っています。

知的財産権とは、特許権や意匠権、商標権、著作権などのことで、その活用法によっては、企業の競争力を大きく強化することができます。「自社のコンテンツが、他社の著作権を侵害していないか不安」、あるいは「他社が自社の製品を模倣しているのではないか」などといった悩みがある場合は、なるべく早く顧問弁護士に相談することが適切です。

 

7−4.クレームへの対応

顧客からのクレームは、自社で対応すると、どうしても「お客様」と「事業者」の関係となってしまい、相手も「お客様」であるという意識から、不合理な要求をするケースが少なくありません。こうなってくると、自社としては合理的な対応をしても、なかなか納得してもらえなかったり、あきらめてもらえず、延々とクレームが長引いてしまう事になりかねません。

このような場面では、自社の顧問弁護士に対応してもらうことで、解決の妨げとなる上下関係がなくなり、対等な立場で話し合うことが可能となります。自社で対応していると延々と長引きそうであった事案であっても、顧問弁護士に依頼することにより、あっけなく解決した、といったケースは少なくありません。

中小企業が自社で対応できないクレームは顧問弁護士にその対応を任せることで、労力や時間の削減になり、本来の事業に集中することが可能になります。

 

参考情報

クレーム対応の重要性については、以下の記事も参考にご覧ください。

クレーム対応についての詳細解説はこちら

 

7−5.債権回収

自社の債権の回収についても、顧問弁護士に相談することが可能です。

債権回収は、時間がたてばたつほど回収が難しくなってしまいます。そこで、すぐに相談できる顧問弁護士に、支払が遅れた最初の段階で相談することで、正しい初動対応をして、被害を最小限に抑えることが重要です。

 

参考情報

債権回収を弁護士へ相談する重要性については、以下の記事も参考にご覧ください。

債権回収についての詳細解説はこちら

 

7−6.その他

中小企業の顧問弁護士は、ここまでご説明した分野のほかにも、以下のような多岐にわたる相談に対応し、中小企業の法務面の課題を解決します。

 

  • 社内における横領や不正、不祥事対応
  • インターネット上あるいはその他の場面における誹謗中傷
  • フランチャイズシステムの整備やフランチャイズ関連の紛争解決
  • 株主総会や取締役会の運営
  • 少数株主対策
  • 法人の債務整理
  • 各種業法への対応
  • 事業承継関係
  • 役員個人のプライベートなトラブル

 

7−7.予防法務にもしっかり取り組む中小企業が増えている

2016年の日弁連の中小企業向けアンケート調査では、中小企業の困りごとの内容として、1位が「雇用問題」で 37.1%、2 位が「債権回収」で 30.3%、3 位が「契約書相談・作成」で 24.9%、4位が「各種社内規定の策定、法令遵守」で21.3%となっています。これを2008年の調査結果と比較すると、「契約書相談・作成」や「各種社内規定の策定、法令遵守」が増えており、中小企業においても予防法務を意識する企業が増えていることがわかります。

 

▶日本弁護士連合会のアンケート調査「困りごとの内容」

日本弁護士連合会のアンケート調査「困りごとの内容」

・出典元:第2回中小企業の弁護士ニーズ全国調査報告書調査結果編」24ページ(pdf)

 

8.中小企業で顧問弁護士の活用に失敗している事例

ここまで、中小企業において、いかに顧問弁護士が重要な役割を担っているかをご説明致しました。
一方で、筆者が企業からご相談をお受けしてきた経験からは、せっかく顧問弁護士を依頼しているのに十分に活用できていない中小企業もあることがうかがえます。

顧問弁護士をうまく活用できていない例として、具体的には以下のような状況が挙げられます。

 

  • ① 顧問弁護士を選ぶ際に「専門性」や「実績」ではなく、「紹介者の推薦」あるいは「顧問料の安さ」などを基準に選んでいるため、実際の自社の相談ニーズに顧問弁護士が対応できていない
  • ② 顧問弁護士と連絡が付きづらく、レスポンスが遅いため迅速な対応をしてもらえない
  • ③ 顧問弁護士が「上から目線」であるなど、人柄の面で問題があり、スムーズに相談ができない

 

また、こういった状況に陥っていても、知人に紹介してもらった弁護士のため、断りにくく結局活用できていないまま契約している、といったケースもあります。

このようなことにならないためにも、どの弁護士と顧問契約をするかについては、契約前に慎重に判断する必要があります。また、紹介者の推薦があったことや、顧問料が安いことを基準に顧問弁護士を選んだことが間違いのもとになっている例も多いです。紹介者が推薦してくれる弁護士や料金が安い弁護士が必ずしも自社の相談ニーズにしっかり対応できる弁護士であるとは限りません。顧問弁護士は「専門性」や「実績」で選ぶことをおすすめします。

 

9.中小企業は顧問弁護士をどのような基準で選ぶべきか?

では、顧問弁護士はどのような基準で選べば良いのでしょうか。

この点については様々な考え方がありうるところですが、筆者が考える「顧問弁護士を選ぶ際に考慮すべきポイント」は、以下の通りです。

 

  • (1)弁護士事務所の規模や実績を考慮する
  • (2)企業法務について経験や実績があるか
  • (3)連絡や相談のしやすさ
  • (4)弁護士の専門分野と自社の業種やニーズがマッチしているか
  • (5)裁判前の交渉に力を入れている弁護士を選ぶ
  • (6)法改正や判例等の情報を定期的に発信している弁護士を選ぶ
  • (7)遠方の弁護士でも問題はない

 

参考情報

中小企業の顧問弁護士の選び方について詳しくは、以下の記事で解説しておりますので、ぜひご参照ください。

顧問弁護士の探し方とは?選び方で重視すべきポイントや注意点を解説

 

10.顧問弁護士に相談するときの注意点

では、実際に中小企業が顧問弁護士を依頼して相談するとなった場合、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。

以下でご説明いたします。

 

10−1.ゴールを明確にしておく

トラブルが発生し、それについて顧問弁護士に相談する場合、自社としてはどのような解決結果をめざすのか、ゴールを明確にして顧問弁護士にそれを伝えておくことが大切です。

例えば、問題社員がいて困っている場合、退職させることが目標なのか、問題行動を辞めさせてきちんと勤務してもらうことが目標なのかで、弁護士の対応も変わってきます。

自社がどのような結果を期待しているのかを、最初の段階で顧問弁護士にきちんと伝えておくことで、顧問弁護士はそれに沿って効果的なアクションをすることが可能となります。

 

10−2.時系列をまとめておく

事前に問題や出来事の時系列を整理してまとめておくことで、相談をスムーズに進めることができます。具体的な日付や出来事の順序、関係者の行動などを整理し、適切な背景情報を提供することで、顧問弁護士は問題の本質をより正確に把握し、適切なアドバイスを提供することができます。

 

10−3.役に立ちそうな証拠や資料を見せる

相談内容に関連する証拠や資料がある場合は、それらを顧問弁護士に提供しましょう。証拠や資料があると、顧問弁護士はより客観的に事案を把握することができるため、より正確で具体的なアドバイスを提供することができます。

 

10−4.不都合な事実も隠さず伝える

自社にとって不都合な事実があるような場合、なんとなく後ろめたい気持ちから顧問弁護士にはその部分を隠して相談してしまう、といったケースが見られます。

しかし、それをしてしまうと、自社が不利になり得る点について顧問弁護士が把握することができず、十分な対策を講じることができなくなってしまいます。

そのため、むしろ自社にとって不都合な部分については、より良い解決をするためにも、特に詳しく弁護士に伝えておくべきです。自社に不都合な事実があっても、顧問弁護士には全て正確な内容を伝え、その点も踏まえたうえで、効果的な戦略を練ってもらうことが大切です。

 

10−5.なるべく早い段階で相談する

トラブル発生時は、なるべく早い段階で顧問弁護士に相談することが非常に重要です。

これは、早い段階であればあるほど、弁護士がとれる手段が多くなり、逆に相談が遅れるほど、弁護士のとれる手段が限られてしまうためです。自社の判断で対応する前に、顧問弁護士に相談することで、誤った対応による失敗も防ぐことができ、自社の希望に沿った解決結果を導きやすくなります。

 

11.中小企業の顧問弁護士の責任について

では、中小企業における顧問弁護士は、どのような責任を担っているのでしょうか。

 

11−1.守秘義務について

顧問弁護士は、顧問先の企業から様々な相談を受ける過程で、その企業の多くの重要な情報を知ることとなります。この際、顧問弁護士は顧問先の企業から提供された情報に関して、守秘義務を厳守することが求められます。

これは、弁護士法にも定められており、担当の顧問弁護士だけでなく、顧問契約している法律事務所全体にも適用されます。

 

▶参考:弁護士法第23条

(秘密保持の権利及び義務)
第二十三条 弁護士又は弁護士であつた者は、その職務上知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負う。但し、法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

・参照元:弁護士法

 

このように、顧問弁護士が守秘義務を負うことで、顧問先は安心して情報を伝えて相談することができます。守秘義務の規定は、弁護士と依頼者が信頼関係を構築するうえで非常に重要なものとなっています。

 

11−2.利益相反について

顧問弁護士は、顧問先の企業の利益を最優先する義務を負います。そのため、顧問先の企業と利害が対立する事件について、依頼を受けたり法律相談に応じたりすることはできません。

例えば、弁護士が新たな企業から相談を受けた際に、その相談の紛争の相手方が自分が担当する顧問先であったとわかった場合、相談を断る義務があり、その相談について依頼を受けることはできません。これは、弁護士法第25条に定められています。

 

▶参考:弁護士法第25条

(職務を行い得ない事件)
第二十五条 弁護士は、次に掲げる事件については、その職務を行つてはならない。ただし、第三号及び第九号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
一 相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
二 相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
三 受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
(以下略)

・参照元:弁護士法

 

12.咲くやこの花法律事務所における実際の活用例

顧問弁護士サービスの実際の活用例の一部を解決実績サイトでご紹介していますのでご参照ください。解決実績サイトで掲載されている活用例は、以下のようなカテゴリ分けで2023年9月現在、約90ほどの事例を公開しています。

 

  • 労働問題・労務
  • 債権回収
  • 契約書
  • クレーム対応
  • IT(インターネット)
  • 不動産
  • 誹謗中傷
  • 著作権
  • 商標権
  • 契約トラブル
  • フランチャイズ
  • 法人破産・会社破産
  • その他の企業法務の分野

 

 

13.咲くやこの花法律事務所に顧問弁護士をご依頼いただく方法

顧問弁護士サービスについて相談したい方はこちら

咲くやこの花法律事務所では、顧問契約をご検討中の中小企業の方向けに、弁護士から顧問契約についてご説明を差し上げております。

顧問契約に関するご説明の方法は、以下の中からお選び頂けます。

 

  • (1)実際に事務所にお越しいただき弁護士と面談していただく方法
  • (2)zoomやSkypeなどのリモートによる面談
  • (3)電話で弁護士からご案内する方法

 

担当弁護士がお客様の事業内容をヒアリングしたうえで最適な顧問契約のプランをご提案します。また、顧問契約をして事業を整備していくべきポイントについてもお話しします。

 

参考情報

咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについて、選ばれている理由や具体的なサポート内容、取扱い分野、実績紹介、顧問料、弁護士紹介まで、詳しくは、以下をご参照ください。

顧問弁護士サービスはこちら

 

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14.まとめ

この記事では、中小企業の顧問弁護士について説明しました。

まず、中小企業の顧問弁護士は、大企業向けの顧問弁護士とは役割がやや異なり、企業法務全般の幅広い対応が求められるということをご説明しました。そして、中小企業向けの顧問弁護士の費用は弁護士や法律事務所によって異なるものの、およその目安としては月額5万円~7万円程度となっており、以下のようなことについて、活用することができます。

 

  • (1)契約書の作成やリーガルチェック
  • (2)労務管理のサポート
  • (3)知的財産権の保護
  • (4)クレームへの対応
  • (5)債権回収

 

また、中小企業が顧問弁護士を選ぶ際は、以下のポイントに注意して判断することが重要です。

 

  • (1)弁護士事務所の規模や実績を考慮する
  • (2)企業法務について経験や実績があるか
  • (3)連絡や相談のしやすさ
  • (4)弁護士の専門分野と自社の業種やニーズがマッチしているか
  • (5)裁判前の交渉に力を入れている弁護士を選ぶ
  • (6)法改正や判例等の情報を定期的に発信してくれる弁護士を選ぶ
  • (7)遠方の弁護士でも問題はない

 

このように、多くの中小企業において、顧問弁護士は、日ごろから企業の法務面の整備を進め、またトラブル時はその解決に尽力する等、安定的な企業の運営のための重要な役割を担い、頼りになる心強い存在となっています。

 

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記事作成日:2023年9月26日
記事作成弁護士:西川 暢春