こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
不動産分野に精通した顧問弁護士をお探しではありませんか?
不動産業では、入居者の家賃滞納、クレーム、問題行動に関するトラブルや、契約時の重要事項等の説明に関するトラブルなどが発生しがちです。このような問題への対応を誤ると、裁判にまで発展したり、場合によっては宅建業法違反として業務停止処分を受けるなど、事業活動に影響を及ぼす事態になる恐れもあります。
顧問弁護士がいれば、日頃からこのような問題が起きないための予防対策を取ることができるだけでなく、万が一トラブルが発生してしまった場合でも、すぐに適切な対応をすることで、早期解決を実現できます。
この記事では、不動産業における顧問弁護士の具体的な役割や依頼するメリット、不動産業にありがちな法的トラブルについてご紹介いたします。この記事を読めば、顧問弁護士の必要性や、具体的にどのような場面で活用するのか等について詳しく知ることができるはずです。また、不動産業者に適した顧問弁護士の選び方についてもご紹介します。
それでは見ていきましょう。
筆者が所属する咲くやこの花法律事務所でも、多くの不動産業者様に顧問弁護士サービスをご利用いただいております。また、顧問弁護士をご検討されている不動産業者の方向けに、無料での面談、契約内容のご説明を行っております。直接弁護士に会って話す方法のほか、Zoomや電話で弁護士の説明を聴いていただくことも可能です。気軽にお問い合わせください。
顧問弁護士に関する重要な関連情報
ー この記事の目次
1.不動産業者向けの顧問弁護士とは?
不動産業では、取り扱う金額が大きくなることが多いことから、トラブルや紛争が発生した場合の事業への影響も大きくなりやすく、対応を誤ると会社経営に重大なダメージを受ける恐れがあります。
顧問弁護士は、売買契約書・重要事項説明書、その他各種契約書のリーガルチェックや労務環境の整備といった予防法務のほか、不動産に関連するトラブルが起きた際も代理人として交渉や裁判に対応し、会社を法的な面でサポートします。また、不動産開発を後押しするための、賃借人との立ち退き交渉等を、顧問弁護士に依頼することも可能です。
顧問弁護士の具体的な役割については、次の段落で詳しくご説明いたします。
2.不動産業者にとっての顧問弁護士の役割とは?
まず、不動産業にとっての顧問弁護士には具体的にどういった役割があるのかをご説明します。
2−1.契約書や重要事項説明書の作成・リーガルチェック
不動産業では、賃貸借契約書やサブリース契約書、不動産売買契約書、重要事項説明書、不動産管理契約書等のリーガルチェックが非常に重要です。
こういった契約書は、ひな形を簡単に手に入れることもできますが、それらをそのまま使用してしまうと、実際の取引内容に合致していなかったり、個々の不動産取引ごとの細かなリスク対策ができていないといった不備が発生し、後からトラブルになる恐れがあります。また、「全国宅地建物取引業協会(全宅)」や「全日本不動産協会(全日)」の雛形を利用する場合も、その特約条項の記載については、十分に検討のうえ、文言を作成することが必要です。弁護士による事前のリーガルチェックを受け、トラブルを未然に防ぐことのできる、リスクに対応した契約書にすることが大切です。
契約書作成時の重要ポイントやリーガルチェックの重要性については、以下の記事も参考にしてください。
2−2.不動産事業のトラブルに関する相談・対応
顧問弁護士がいれば、以下のような不動産事業のトラブルについて、いつでも気軽に相談することが可能です。トラブルが発生した際に対応を誤ると問題が複雑化したり、解決が困難になる場合もあるため、顧問弁護士に相談して、早いうちにトラブルの芽を摘むことが大切です。
(1)不動産売買に関するご相談
- 不動産売買前のリスク判断に関するご相談
- マンションや戸建て分譲の売買に関するご相談
- 境界を巡るトラブルに関するご相談
- 近隣トラブルに関するご相談
- 手付金や中間金に関するご相談
- 違約金請求に関するご相談
- 融資金融機関とのトラブルに関するご相談
- 不動産の瑕疵(契約不適合)、土壌汚染、地盤沈下等を巡るトラブルのご相談
- 仲介手数料の回収に関するご相談
- 都市計画法、建築基準法、宅地造成等規制法等による規制に関するご相談
- 宅建業法による規制に関するご相談
- 賃借人に対する立ち退き交渉のご相談
(2)不動産賃貸・管理に関するご相談
- 賃貸借契約に関するご相談
- 行政規制に関するご相談
- 借地非訟手続に関するご相談
- 入居者の家賃滞納に関するご相談
- 悪質な入居者やテナントへの対応に関するご相談
- 退去要請に関するご相談
- 賃借人に対する立ち退き交渉のご相談
- 賃料増額に関するご相談、賃借人からの減額要求に関する対応のご相談
- 漏水事故や天災による破損などのトラブル発生時のご相談
- 賃貸の仲介を行う場合のオーナーや入居者とのトラブルのご相談
- 敷金の返還や原状回復をめぐるトラブルのご相談
- 宅建業法による規制に関するご相談
(3)社内の人事労務トラブルへの対応・労務管理
不動産業者の社内の人事労務問題を顧問弁護士に相談することも可能です。
労働関連法の改正への対応、雇用契約書や就業規則の整備等の労務面についても継続的なサポートを行います。また、以下のような人事労務トラブルに関するご相談やご依頼についても対応が可能です。
- 未払い残業代請求に関するご相談
- パワハラ、セクハラに関するご相談
- 勤務シフト変更をめぐるトラブル
- 労災をめぐるトラブル
- 問題社員・モンスター社員への指導に関するご相談
- 問題社員・モンスター社員の退職勧奨や解雇に関するご相談
人事労務トラブルは対応が遅れれば遅れるほど、取れる選択肢が限られたり、訴訟に発展したりする等、会社の負担が大きくなる恐れがあります。そのため、問題が生じた段階で早いうちに相談できる体制をつくったうえで、合わせて日頃から適切な労務環境の整備を進めていくことが大切です。
顧問弁護士はトラブル対応と労務環境の整備の両方を法的な面からサポートいたします。
3.不動産業特有の法的トラブル
次に、不動産業に多い法的トラブルについてご紹介します。
顧問弁護士がいれば、これから紹介するようなトラブルの多くを未然に防ぐことが可能です。また万が一トラブルが発生した際も、早めに弁護士に相談することにより、問題が小さいうちに解決することができ、会社への負担を減らすことができます。
3−1.重要事項説明をめぐるトラブル
売買・賃貸を問わず最も多いトラブルは、重要事項等の説明に関するトラブルです。
「公益財団法人不動産流通推進センター」の統計によると、平成29年度から令和3年度にかけて紛争原因の1位となっており、全体のおよそ40%を重要事項説明等が占めています。
▶参考情報:「主要原因別紛争相談件数 (全体件数) 」統計データ
・参照元:2023不動産業統計集-公益財団法人不動産流通推進センター(pdf)
具体的なトラブルの事例を以下でご紹介します。
(1)土地や建物の問題点の説明に関するトラブル
事例1:前面道路の説明の誤りがあり、媒介業者が20日間の業務停止処分を受けた事例
接道している道路が実際は私道を含んでいるにもかかわらず誤って公道である旨の説明をし、20日間の業務停止処分を受けた事例です。
事例2:防火扉の操作方法等に関する説明義務違反(最高裁判所判決平成17年9月16日)
マンション販売業者が買主に防火扉の操作方法を説明しておらず、購入後マンション内の火災で買主が死亡した事案です。電源スイッチの所在が一見して明らかとはいえない造りになっていたなどの事情があったため、売主業者の説明義務違反が認められました。
(2)眺望や周辺環境等の説明に関するトラブル
事例1:入居後すぐに高さ5mの擁壁が建築された事例(千葉地方裁判所判決平成14年1月10日)
子どものために環境を重視して不動産購入をしたい旨の依頼を買主がしたにもかかわらず、不動産仲介業者が周辺環境について十分な調査・結果を説明しなかった結果、買主の入居後すぐに、購入した建物の南東側から約4m離れた位置に、鉄筋コンクリート製の高さ5mの垂直擁壁が設置されることが判明し、買主が仲介業者に対し700万8750円を損害賠償として請求した事案です。
裁判所は媒介契約上の調査義務ないし説明義務に違反するとして、仲介業者への300万円の損害賠償を認めました。
このような説明に関するトラブルは、事前に顧問弁護士に相談することにより、未然に防ぐことが可能です。
3−2.売買に関するトラブル
不動産売買に関しては、ローン特約による白紙撤回をめぐるトラブルや契約相手の債務不履行によるトラブルの他、売買締結後に予想外の瑕疵(契約不適合)が発覚し、紛争に発展するケースも見られます。
また、契約解除の場面で、手付金や中間金の返還を巡るトラブルや、違約金請求に関するトラブルが発生することも少なくありません。
3−3.賃貸・管理に関するトラブル
不動産賃貸や管理に関するトラブルとしては、以下のようなものがあります。
(1)家賃(賃料)滞納や明渡しに関するトラブル
例)長期間家賃を滞納している入居者に退去してもらいたい等
(2)問題のある入居者に関するトラブル
例)他の入居者と頻繁にトラブルを起こす、共用部分に私物を放置する、ペット飼育禁止のマンションであるにもかかわらずペットを飼育している等
(3)原状回復に関するトラブル
例)途中で不動産のオーナーが変わったことにより、退去時の原状回復の認識にずれが生じトラブルに発展した、原状回復の範囲を巡って争いになった等
(4)クレームに関するトラブル
例)暴言を吐く、昼夜問わず何度も電話をかけてくる等
4.不動産業者向けの顧問弁護士の費用
弁護士の顧問料については特に統一的な基準がないため、法律事務所によって顧問料は異なります。不動産業をはじめとする法人の場合、顧問料はおよそ5万円~10万円とする法律事務所が比較的多く見られます。
顧問弁護士の費用の相場の情報など、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
・顧問弁護士にかかる費用はどのくらい?顧問料の相場など料金について
また、咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスに関する顧問料は以下のページをご参照ください。
5.不動産業者が顧問弁護士を依頼するメリット
不動産業者が顧問弁護士を依頼するメリットとしては、法的リスクを最小限に抑えられるという点があげられます。
顧問弁護士がいない場合、トラブルの予兆段階や初期段階では、わざわざ弁護士に相談するほどのことではないといった考えから、まずは自社で解決しようとする方がほとんどです。そのため、手に負えなくなるほど問題が深刻化してからはじめて弁護士に相談・依頼するということになりがちです。
しかし、その間に間違った対応をしてしまい、状況がさらに悪化したり、トラブル発生から時間が経ったために取れる選択肢が限られてしまい、損害が大きくなるといった事態に陥ってしまうことが頻繁に起こります。
顧問弁護士がいれば、トラブル発生後はもちろんのこと、予兆段階であっても気軽に「とりあえず顧問弁護士に相談する」という行動が取れるようになり、問題がまだ小さなうちに解決できる可能性が高くなります。また、日頃から顧問弁護士によるサポートを受け、契約書の整備、法改正への対応を進めることにより、法的リスクを最小限に抑え、トラブルに強い会社をつくることができます。
6.不動産業者に適した顧問弁護士の選び方
では、不動産業の会社が顧問弁護士を選ぶとき、どのような点を重視して選べばよいのでしょうか。
考え方は様々ありますが、自社にぴったり合った、活用できる顧問弁護士を選ぶためには、主に以下の6つのポイントを考慮して選ぶことをおすすめします。
- (1)弁護士事務所の規模を考慮する(特に1人事務所の場合は弁護士の病気等の場合の対応がどうなるかを確認する)
- (2)不動産業に関する案件について経験や実績があるか
- (3)連絡や相談のしやすさ
- (4)弁護士の専門分野と自社の事業がマッチしているか
- (5)裁判前の交渉に力を入れている弁護士を選ぶ
- (6)法改正や判例等の情報を定期的に発信している弁護士を選ぶ
上記のような点を考慮せず、ただ単に大手の法律事務所だから、顧問料が安いから、といった理由で選んでしまうと、満足のいくサービスを受けられない可能性があるため、選ぶ際は注意が必要です。
顧問弁護士の選び方については、以下の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひご参照ください。
7.咲くやこの花法律事務所での不動産業における顧問契約例や活用事例
咲くやこの花法律事務所では、多くの不動産業の会社と顧問契約を結び、サポートさせていただいております。具体的な事例は以下の通りです。
●不動産業一覧
- 貸しビル業
- 不動産賃貸事業
- 不動産売買事業
- 賃貸不動産管理事業
- 不動産管理業
- 新築分譲マンション・新築戸建ての販売(代理・媒介)
- 不動産開発物件の市場調査、商品企画、コンサルティング業
- 不動産の売買・仲介・賃貸・管理
- 不動産のリノベーション、プロパティマネージメント
- 不動産信託の斡旋
- 資産設計提案(ファイナンシャルプランニング)
- 不動産ローン設計提案(モーゲージプランニング)
また、咲くやこの花法律事務所で不動産業者様から実際にご依頼いただき、解決に至った事例を一つご紹介します。
7−1.不動産会社が競落した土地を建物の居住者が明け渡さなかったため、裁判・強制執行により不動産の明け渡しを実現した事例
事案の概要
不動産会社が、裁判所の競売で土地を落札した後に、土地上に建物を建てて居住している者に退去を求めたところ、 居住者が土地の明け渡しを拒絶したため、訴訟を起こして居住者に対して土地の明け渡しを求めた事案です。
解決結果
居住者は最後まで土地の明け渡しに協力しませんでしたが、弁護士が訴訟の結果をもとに強制執行を行い、強制的に建物を取り壊して、土地の明け渡しを受けることに成功しました。
本件では、居住者が法定地上権を主張して土地の明け渡しを拒否しており、裁判の中でも、居住者側の弁護士から法定地上権がある旨の主張がされましたが、「理論上法定地上権が成立しないケースにあたる」ことを、過去の裁判例も交えて徹底的に主張、反論しました。
その結果、「第1審」、「第2審」、「最高裁判所」まで、すべての裁判所で勝訴することができました。
詳細は以下でご紹介していますのでご参照ください。
「不動産会社が競落した土地を建物の居住者が明け渡さなかったため、裁判・強制執行により不動産の明け渡しを実現した事例」の詳細解説は以下よりご覧ください。
また、他にも、咲くやこの花法律事務所が不動産業の顧問弁護士として対応し、問題を解決した事例を以下でご紹介しています。あわせてご参照ください。
咲くやこの花法律事務所の不動産分野における解決事例
8.咲くやこの花法律事務所の不動産業者向け顧問弁護士サービスのご案内
最後に、咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについてご紹介します。咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスには4つのプランがあり、ニーズに応じた最適な顧問契約プランをお選びいただけます。
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについて詳しく解説した動画を公開中です。あわせてご参照ください。
8−1.ミニマムプラン(月額3万円)
●ご相談回数の目安:月に1回~2回程度
定期的な相談は予定していないが、トラブル発生時に備えてすぐに相談できるようにしておきたい不動産業者におすすめのプランです。
8−2.スタンダードプラン(月額5万円)
●ご相談回数の目安:週1回程度
定期的な相談をご希望の方や、契約書のチェック体制の整備等を進めたい不動産業者におすすめのプランです。
8−3.しっかりサポートプラン(月額10万円)
●ご相談回数の目安:週2回程度
顧問弁護士と密に連絡を取り、トラブル対応や予防法務の整備を進めたい方や、複数の事業についてご相談をお考えの不動産業者におすすめのプランです。
8−4.プレミアムプラン(月額15万円)
●ご相談回数の目安:週3回以上
複数の事業についてご相談をお考えの方や、相談回数を気にせずに相談できる顧問契約をご希望の不動産業者におすすめのプランです。
咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについては、以下で詳しくご説明しておりますのでぜひご覧ください。
9.まとめ
この記事では、不動産業における顧問弁護士の役割や起こりがちなトラブル、顧問弁護士を依頼するメリットについてご説明しました。
顧問弁護士がいれば、以下のような事柄について依頼することが可能です。
- 売買契約書、賃貸契約書、管理委託契約書等の契約者や重要事項説明書の作成・リーガルチェック
- 不動産取引、不動産管理のトラブルに関する相談・対応
- 社内の人事労務トラブルへの対応・労務管理
また、不動産業はクレームやトラブルに悩まされやすい業種の一つでもあり、クレームやトラブルへの対応に時間を取られがちです。顧問弁護士がいれば、記事でご紹介したようなトラブルを未然に防ぐことができるだけでなく、万が一紛争に発展してしまった際も顧問弁護士に対応を任せることができるため、安心して本来の業務に集中することができます。
咲くやこの花法律事務所では、不動産の売買・賃貸・管理等の事業を営む企業向けに専門的な顧問弁護士サービスを提供し、不動産に関連したトラブルの交渉、裁判等を多数担当してきました。顧問弁護士サービスをご検討されている不動産業者の方は、ぜひ一度咲くやこの花法律事務所までお問い合わせください。
咲くやこの花法律事務所の不動産に強い弁護士への法律相談サービスもあわせてご参照ください。
10.【関連情報】顧問弁護士に関するお役立ち情報
この記事では、「不動産業に強い顧問弁護士!メリットや具体的な活用場面を詳しく解説」について解説してきましたが、顧問弁護士をお探しの方に向けて、他にも重要なお役立ち情報を公開しています。以下でご紹介しておきますので、あわせてご参照ください。
・中小企業向けの顧問弁護士とは?必要性などをわかりやすく解説
・スタートアップに弁護士は必要?顧問弁護士の役割やメリットを解説
記事更新日:2024年9月10日
記事作成弁護士:西川 暢春