こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
顧問弁護士に内部通報の外部窓口を依頼してよいかわからず悩んでいませんか?
消費者庁の報告書によると、内部通報制度について外部窓口を委託している民間事業者の中では、外部窓口を顧問弁護士に委託している事業者が44%と最も多くなっています。(▶参照:消費者庁「令和5年度民間事業者等における内部通報制度の実態調査報告書」(pdf)30頁)
しかし、顧問弁護士に内部通報窓口を委託することは、特に経営陣の不正の疑いが通報対象となる場面で、利益相反の問題を生じさせ、また、通報者に通報をためらわせることになるという問題があり、必ずしも適切とはいえません。さらに、会社が通報者とトラブルになった場合の対応を顧問弁護士に依頼できなくなるという問題もあります。
そのため、内部通報の窓口は、企業と利害関係を持たない外部の弁護士に委託することがより適切です。特に最近では、兵庫県の公益通報に対する対応によるトラブルが大きなニュースとなり、顧問弁護士以外の弁護士への外部通報窓口依頼を検討する事業者や自治体が増えています。
この記事では、顧問弁護士に内部通報窓口を委託することへのリスクや、外部の弁護士に内部通報窓口を委託するメリット、流れや費用感を解説しています。この記事を最後まで読めば、実際に外部の弁護士に内部通報窓口を依頼するために具体的な行動を起こせるようになるはずです。
それでは見ていきましょう。

内部通報制度を設けたものの、いざ通報があったときの対応が適切にできず、大きなトラブルになる例が後を絶ちません。
内部通報制度については、内閣府の指針でさまざまな基準が示され、通報時の対応についてもルールが複雑化しており、今後さらにルールが改定されていくことも予想されます。通報後に正しい対応ができなければ、外部機関やマスコミに直接通報されたり、通報対応の不備を問題視され、会社の名前が全国に報道される可能性もあります。
いつ通報があっても、ルールを踏まえた正しい対応ができるように準備しておくことが必要です。弁護士に内部通報窓口を依頼していただくことは、通報後の対応において法的に正しい対応ができるというメリットがあります。
咲くやこの花法律事務所でも、内部通報窓口の設置についてのご依頼を承っていますので、検討中の方は、お問い合わせください。内部通報制度の外部窓口についての咲くやこの花法律事務所サービス内容は以下をご参照ください。
▶参考情報:「内部通報窓口・公益通報窓口」弁護士への外部委託サービスはこちら
また、咲くやこの花法律事務所に実際にご依頼いただいた内部通報窓口の外部委託の実績や、実際に内部通報があった際の弁護士による対応事例も参考にしてください。
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の内部通報窓口の外部委託サービスの費用などに関するお問い合わせについて
ー この記事の目次
1.内部通報窓口と外部通報窓口とは?
「内部通報窓口」とは、社内の不祥事や不正行為の発見を容易にするために、不祥事や不正行為を発見した従業員や退職者、取引先等からの通報を受け付ける事業者が設置した窓口のことです。令和4年6月の「公益通報者保護法」改正をうけ、従業員301人以上の事業者は内部通報窓口の設置が義務付けられました。そして、「外部通報窓口」とは、このような内部通報窓口のうち、事業者が外部の第三者に委託して設置する窓口のことを指すことが多くなっています。
▶参考情報:内部通報窓口に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
2.顧問弁護士が内部通報の外部窓口となることはできる?
結論から言えば、顧問弁護士が内部通報の外部窓口となることは可能ですが、以下の理由から適切ではありません。
- (1)利益相反の問題が出てくる
- (2)通報者が通報を躊躇してしまう
- (3)会社が通報者とトラブルになった場合の対応を顧問弁護士に依頼できなくなる
そのため、顧問弁護士以外の弁護士に外部通報窓口を依頼することが最も適切です。
以下でご説明します。
2−1.利益相反の問題が生じる
顧問弁護士は日ごろから企業の経営陣から相談を受け、企業やその経営陣の利益を守る立場にあります。仮に通報の対象が経営陣であった場合、通報者側と経営陣側で利害が衝突することになりますが、通報窓口が顧問弁護士である場合、このような場面で適切な対応ができないおそれがあります。
例えば、代表取締役をはじめとする経営陣によるハラスメントに関する通報があった場合、経営陣(会社側)と通報者(労働者側)が対立する構造となります。
このような場面で通報窓口が顧問弁護士であると、顧問弁護士としては経営陣の利益を守らなければならない立場と、通報者を保護し通報に公正に対応しなければならない立場をあわせもつことになり、対応が困難になるおそれがあります。
消費者庁のガイドラインにおいても、「通報の受付‥に係る業務を外部委託する場合には、中立性・公正性に疑義が生じるおそれ又は利益相反が生じるおそれがある法律事務所や民間の専門機関等の起用は避けることが必要」と指摘されています。
2−2.通報者が通報を躊躇してしまう
また、顧問弁護士を窓口とする場合、通報しようとする従業員が通報先の公正性を信用することができず、通報を躊躇してしまうことも懸念されます。
顧問弁護士は通常企業や経営陣の利益を守る立場であることから、通報者は「自分が通報したことが経営陣にばれるのではないか」「通報しても公正な対応がされなかったり、経営陣の利益を考慮してもみ消されるのではないか」などといった不安から結局通報を断念してしまう、ということが考えられます。
このように、社内の不祥事が通報されにくくなってしまうと、会社として重大な不正行為を見逃してしまったり、社内で把握する前に外部の行政機関やマスコミなどに通報されてしまい、報道されるなどして社会的信用を失う恐れがあります。
消費者庁の「内部公益通報対応体制の整備その他の必要な措置に関するQ&A」のQ11においても、「顧問弁護士を内部公益通報受付窓口とすることが妨げられるものではありませんが、顧問弁護士に内部公益通報をすることを躊躇(ちゅうちょ)する者が存在し、そのことが通報対象事実の早期把握を妨げるおそれがあることに留意が必要です。」とされています。
2−3.会社が通報者とトラブルになった場合の対応を顧問弁護士に依頼できなくなる
通報事案をめぐって通報者と会社がトラブルになることも少なくありません。
例えば、ハラスメントの通報があった場合に、その後ハラスメントについて通報者が会社に対して何らかの請求をする、訴訟を起こすといったことが想定されます。このような場面で、顧問弁護士が通報窓口になっていた場合、トラブルについての会社側の対応をその顧問弁護士に相談したり、依頼したりすることができません。
通報窓口として通報を受け付けた弁護士は、中立公正な対応をする義務を負い、通報事案をめぐってトラブルになったときに会社側の利益を守る立場に立って行動することはできないのです。その結果、会社としては、顧問弁護士以外の他の弁護士に事案を相談し、依頼しなければならなくなるというデメリットがあります。
3.外部通報窓口は顧問弁護士以外の弁護士に依頼することが適切
このように、顧問弁護士が内部通報の外部窓口となるのは、通報者にとっても企業にとっても適切ではありません。そのため、弁護士に窓口を依頼する場合は、顧問弁護士以外の弁護士に依頼するべきです。
経営陣と利害関係を持たない外部の弁護士であれば、通報者の信頼を得やすく、客観的かつ公正な対応が可能です。また、通報者にとって信頼性の高い通報制度を整えることで、企業としても不正行為などのリスクを早期に把握することができ、トラブルを防ぐことができます。
4.弁護士に内部通報窓口を依頼するメリットとは?
内部通報窓口の外部委託先としては、弁護士のほかに、通報専門会社への委託や親会社、あるいは労働組合に設定する例があります。
消費者庁が令和5年に行った調査では、顧問弁護士に外部通報窓口を委託する以外の選択肢としては、下図のとおり、「顧問弁護士とは別の事務所の弁護士に委託」「通報専門会社に委託」「親会社や関連会社に設定」などの例が多くなっています。
・参照:令和5年度「民間事業者等における内部通報制度の実態調査報告書」(pdf)の30頁
このように弁護士以外に依頼する選択肢もありますが、弁護士に内部通報窓口を依頼することには以下のメリットがあります。
- (1)通報時の対応を弁護士に相談できる
- (2)調査の要否について弁護士の助言を受けることができる
- (3)外部からの信頼を獲得できる
- (4)制度の設計や規程の整備を正確に行うことができる
- (5)社内説明会や担当者研修で正しい運用を確立できる
内部通報窓口を弁護士に委託することで、法的な専門性に裏打ちされた適切な対応が可能となり、制度の信頼性と実効性を高めることにつながります。また、社内外からの信頼を獲得する点においても、法律事務所への委託が有効です。
▶参考情報:弁護士に内部通報窓口を依頼するメリットについては、以下のページで詳しくご説明していますので、ご参照ください。

消費者庁の上記調査結果からは、「顧問弁護士事務所に所属する顧問弁護士以外の弁護士に委託」している例もあることがわかります。
しかし、顧問弁護士と同じ法律事務所に所属する弁護士に通報窓口を委託することは、(1)利益相反の問題が出てくる、(2)通報者が通報を躊躇してしまう、(3)会社が通報者とトラブルになった場合の対応を顧問弁護士に依頼できなくなるという点において、顧問弁護士に委託する場合と同じ問題があり、根本的な問題解決にはなりません。
5.実際に内部通報があった際の流れは?
外部通報窓口を担当する弁護士に実際に通報があった場合、以下の流れで対応を進めていくことになります。
- (1)通報の受付
- (2)調査の要否を検討する
- (3)会社に報告し、調査計画を立てる
- (4)調査の実施
- (5)調査結果を会社に報告する
- (6)通報者や関係者への対応
- (7)社内の制度やルールの見直し
それぞれご説明します。
5−1.通報の受付
まず、通報の受付段階で、通報内容やその時期、場所、関係者などを聞き取ります。さらに、通報内容について通報者がもつ証拠の有無を必ず確認しましょう。
匿名での通報も認めることが適切です。ただし、匿名の通報であっても通報者の連絡先は確認しておくべきです。また、通報者がその後のフィードバックを希望するかも確認しておくと良いでしょう。
5−2.調査の要否を検討する
通報受付後は、弁護士が通報内容を整理し、調査の要否を判断します。内閣府の公益通報者保護法に基づく指針では、「正当な理由がある場合を除いて、必要な調査を実施する」ことが求められています。
調査を実施しない「正当な理由」がある場合の例としては、例えば、解決済みの案件に関する情報が寄せられた場合、通報者と連絡がとれず事実確認が困難である場合等が考えられます。
5−3.会社に報告し、調査計画を立てる
会社の担当者に通報内容を報告し、調査方法や、調査対象者、調査日程、証拠収集の範囲などについて計画を立てます。
なお、「事実関係の調査等通報対応に係る業務を外部委託する場合には、事案の内容を踏まえて、中立性・公正性に疑義が生じるおそれ又は利益相反が生じるおそれがある法律事務所や民間の専門機関等の起用は避けることが適当である。」とされています。
5−4.調査の実施
弁護士に調査を委託する場合は、弁護士による関係者へのヒアリングや、証拠の収集を進め、事実関係を確認します。この際、弁護士は客観的で偏りのない調査を実施することが求められます。
5−5.調査結果を会社に報告する
調査が終わると、実際に通報対象となった行為があったかどうかや、行為に違法性があるかなどを検討し、その結果を会社の担当者に報告します。通報により法令違反行為が明らかになった場合は、すみやかに是正に必要な措置をとることが求められています。
5−6.通報者や関係者への対応
通報者が調査のフィードバックを希望している場合は、調査結果を報告します。なお、通報が書面により行われた場合は、通報者に対するフィードバックが義務付けられています。
また、会社としては、必要に応じて、通報対象者(行為者)に対する処分を検討することになります。この点についても、弁護士に相談しながら進めていくことが大切です。
5−7.再発防止策の提案と社内制度やルールの見直し
不正行為の是正や、通報者・関係者への対応が終われば、不正行為が起こった原因を分析し、再発防止策を講じることが大切です。また、就業規則の見直しや社内での研修を実施することも検討することとなります。
6.弁護士に外部通報窓口を依頼する場合の費用
顧問弁護士以外の弁護士に外部通報窓口を依頼する場合の費用は、企業規模、従業員数、通報制度の利用対象者の範囲、予想される通報頻度、外国語対応の必要性の有無等により異なります。また、依頼する法律事務所によっても費用体系はさまざまです。
以下では、一例として、筆者が代表を務める咲くやこの花法律事務所における費用の目安をご紹介します。
6−1.咲くやこの花法律事務所における内部通報窓口の外部委託サービスについての費用の目安
従業員数 | 料金 |
従業員数300名未満 | 月額3万円+税 |
従業員数300名〜999名 | 月額5万円+税 |
従業員数1000名〜2999名 | 月額7万円+税 |
従業員数3000名〜 | 月額8万円+税 |
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の内部通報窓口の外部委託サービスの費用などに関するお問い合わせについて
7.咲くやこの花法律事務所の内部通報窓口に関する実績紹介
次に、咲くやこの花法律事務所の内部通報窓口に関する実績の一部についてご紹介します。
7−1.内部通報窓口の外部委託に関する実績
(1)東京都の小売事業者から内部通報窓口の外部委託をご依頼いただいた事例
従業員約800名の内部通報窓口を整備中の法人から、社内の通報窓口だけでは不十分であるということで、ご相談いただきました。従業員に安心して相談してもらうため、弁護士事務所を外部通報窓口とすること、また、内部通報制度の運用についても適宜相談したいということで、内部通報窓口としてご依頼いただきました。その後、通報された内容に対し、調査方法などについて随時ご相談していただいています。外部窓口を弁護士に委託することは、従業員にとって利用しやすい制度に整備し、また通報後の対応を万全にするために有益です。
(2)ベンチャー企業から公益通報窓口の外部委託をご依頼いただいた事例
ベンチャー企業で上場に向けて公益通報制度を整備したいとして、ご依頼いただきました。通報後の調査について、必要に応じて弁護士に依頼したいというご希望があり、咲くやこの花法律事務所の外部委託サービスをご希望いただいた事例です。このように、上場準備をきっかけに弁護士に外部窓口を委託する例も増えています。
(3)従業員数200名弱の企業から内部通報窓口の外部委託をご依頼いただいた事例
従業員数が増加する中、内部通報制度を整備し、不正を早期是正して、会社を守りたいとして、ご依頼いただきました。通報受付後の対応についても弁護士に相談ができることを希望されており、また、別に顧問弁護士がいましたが、より独立性の高い立場での対応を希望され、顧問弁護士ではない咲くやこの花法律事務所に外部窓口をご依頼いただきました。制度の導入にあたり、咲くやこの花法律事務所の弁護士が内部通報規程を作成し、また、従業員説明会も実施しました。このように、顧問弁護士ではなく、独立性の高い外部の弁護士への外部委託を検討する企業が増えています。
(4)社会福祉法人から内部通報窓口の外部委託をご依頼いただいた事例
すでに外部委託を他業者で利用中の法人から、外部委託先の切り替えとしてご依頼いただいた事例です。他業者に窓口を依頼中であるものの、ハラスメントについて当事者同士の主張の食い違いなどがあった場合について十分なサポートがなく、通報後の対応について弁護士のサポートを受けられる咲くやこの花法律事務所のサービスをご希望いただき、ご依頼いただきました。ハラスメントの訴えについては対応を誤ると紛争化しやすく、通報窓口の外部委託の利用が有効です。
7−2.実際に内部通報窓口に通報があった場面での弁護士による解決事例
(1)内部通報窓口に匿名で行われたハラスメントの通報について、適切な対処をアドバイスし、解決まで至った事例
本件は、会社内に設置された内部通報窓口に、匿名で支店内のパワハラを告発する内容の文書が郵送され、その対応について会社からご相談をいただいた事例です。文書を受けて、依頼者は、会社として早急な対処が必要と考えましたが、どのように対処してよいかわからず、咲くやこの花法律事務所にご相談にお越しになりました。
●解決結果
依頼者が調査チームを作り、弁護士のアドバイスのもと、支店の社員全員に、内部通報の調査である点を秘してアンケート及び面談を実施し、パワハラ行為を行っていた加害社員を割り出しました。その後、当該加害社員にパワハラ行為を認めさせ、他支店への転勤及び同意による降格と減給を行いました。
こちらの解決事例について詳しくは、以下の記事でさらに詳しく「弁護士が取り組んだ課題」「担当弁護士のコメント」などもまじえて解説していますので、ご参照ください。
8.内部通報窓口に関する弁護士への相談サービスはこちら
咲くやこの花法律事務所でも、内部通報窓口の外部委託を希望される事業者からのご相談をお受けしております。最後に咲くやこの花法律事務所のサポート内容をご紹介します。
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の内部通報窓口の弁護士への外部委託サービスに関して、よくある相談事例をはじめ、実際にサポートした一部の実績紹介、弁護士によるサポート内容を紹介したサービス紹介動画もあわせてご参照ください。
8−1.内部通報窓口設置に関するご相談
「内部通報制度を導入したいが、何から始めるべきかわからない」
そんな事業者様に向けて、制度設計の段階から丁寧にサポートします。また、これまで顧問弁護士に依頼してきたが、利益相反等の問題を考えて、他の法律事務所に委託先を変更したいといったご要望にも対応しています。
内部通報制度を導入するにあたっては、単に窓口を設ければ良いというものではありません。公益通報者保護法やそれに基づく内閣府の指針に基づいた体制を構築する必要があります。
咲くやこの花法律事務所では、窓口の設置から、通報者の保護方法、通報対応のフロー、社内規程の整備など、貴社の実情に即してサポートいたします。
- 内部通報窓口設置に関するご相談の費用:無料
- 相談方法:来所相談のほか、オンライン、電話によるご相談が可能
なお、咲くやこの花法律事務所に内部通報窓口を外部委託していただく場合の費用の目安については、前述した通りです。より詳しい内容は、以下のページをご参照ください。
8−2.内部通報制度に関する社内研修
咲くやこの花法律事務所では、内部通報制度に関する社内向けの研修のご依頼もお受けしています。内部通報制度を有効に機能させるためには、社員一人ひとりの理解が不可欠です。また、管理職や通報対応担当者を対象とした実務的な研修も対応可能です。
通報時の初期対応や聴取時の注意点、ハラスメントの兆候の見極めなど、実務に直結した内容を提供します。
咲くやこの花法律事務所の弁護士による社内研修に関する弁護士費用例
- 研修費用:10万円+税~
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の内部通報窓口の外部委託サービスの費用などに関するお問い合わせについて
9.まとめ
この記事では、顧問弁護士に内部通報の外部窓口を依頼することの可否についてご説明しました。
顧問弁護士が内部通報の外部窓口となることは可能ですが、以下の理由から適切ではありません。
- (1)利益相反の問題が出てくる
- (2)通報者が通報を躊躇してしまう
- (3)会社が通報者とトラブルになった場合の対応を顧問弁護士に依頼できなくなる
そのため、顧問弁護士以外の弁護士に外部通報窓口を依頼することが最も適切です。中立的立場を保てる弁護士であれば、通報者の信頼を得やすく、企業としても不正の早期発見・リスク管理が可能になります。
弁護士に内部通報窓口を依頼することには以下のメリットがあります。
- (1)通報時の初動対応を専門家に相談できる
- (2)調査の要否や方法について助言を受けられる
- (3)社内外からの信頼を獲得できる
- (4)制度の設計や規程の整備を正確に行うことができる
- (5)社内研修や担当者指導で運用体制を確立できる
内部通報窓口の外部委託を検討されている方は、咲くやこの花法律事務所でもご相談をお受けしていますので、ご利用ください。
記事作成日:2025年6月10日
記事作成弁護士:西川 暢春